「社内に情シス担当者がいない」「パソコンやネットワークの管理を社員が兼任している」といった悩みはありませんか?
このような中小企業のIT業務を外部の専門家へ任せる方法の一つが「情シス代行」です。本記事では、情シス代行とはどのようなサービスなのか、外注できる業務や利用するメリットをわかりやすく解説します。
情シス代行とは?
情シス代行とは、企業の情報システム部門(情シス)が担当する業務の一部または全部を、外部の専門家へ委託するサービスです。
企業の情シスでは、パソコンの設定やアカウント管理、ネットワーク、サーバー、クラウドサービス、セキュリティなど、さまざまなIT業務を担当します。
しかし、中小企業では専任の情シス担当者や社内SEを配置していないことも珍しくありません。
その結果、パソコンに詳しい社員や経営者が本来の仕事と並行してIT管理を行い、トラブルが起きるたびに対応しているケースがあります。
こうした社内のIT業務を外部へ任せることで、情シス担当者がいない企業でも継続的なIT管理を行いやすくするのが情シス代行です。
情シス代行に外注できる業務
情シス代行で対応できる範囲はサービスによって異なりますが、中小企業では次のような業務を外注できます。
・パソコンの初期設定や入れ替え
・社員からのパソコンに関する問い合わせ対応
・ユーザーアカウントやメールアドレスの管理
・Microsoft 365などクラウドサービスの設定・管理
・ネットワークやWi-Fiの設定・トラブル対応
・サーバーやNASの導入・運用
・バックアップの設定や運用確認
・ウイルス対策やセキュリティに関する相談
・IT機器やソフトウェアの選定
・IT資産やライセンスの管理
単純なパソコンの問い合わせ対応だけでなく、ネットワークやサーバーなど会社全体のITインフラまで依頼できるサービスもあります。
パソコンやアカウントの管理を任せられる
社員が入社した際にはパソコンの準備やメールアドレスの作成が必要になり、退職時にはアカウントの停止やデータの整理が必要になります。
社員数が増えるほど、「誰がどのパソコンを使っているのか」「どのアカウントが現在も必要なのか」といった管理も複雑になります。
情シス代行を利用することで、こうした日常的なIT管理を外部へ任せたり、管理方法そのものを整理したりできます。
特に、IT業務を特定の社員が兼任している会社では、その社員に集中していた負担を軽減できることが大きなメリットです。
ネットワークやサーバーも相談できる
中小企業のIT管理では、パソコンだけでなくネットワークやサーバーについても考える必要があります。
例えば「Wi-Fiが頻繁に切れる」「共有フォルダへアクセスできない」「サーバーが古くなっている」といった問題です。
こうした問題は、パソコンだけを確認しても原因が分からないことがあります。
ネットワーク機器やサーバーを含めて対応できる情シス代行であれば、IT環境全体を確認したうえで原因を調査できます。
情シス代行を選ぶ際には、パソコンのサポートだけなのか、ネットワークやサーバーまで対応できるのかを確認しておくことが重要です。
中小企業が情シス代行を利用するメリット
中小企業が情シス代行を利用するメリットの一つは、専任のIT担当者を採用しなくてもITの専門家へ相談できることです。
IT担当者を一人採用すると、給与だけでなく社会保険料や採用費、教育費なども必要になります。
一方で、社員数が数名から数十名程度の会社では、専任の情シス担当者を一人配置するほどIT業務が多くない場合もあります。
情シス代行であれば、自社に必要な範囲のIT業務を外部へ依頼できます。
「専任のIT担当者を採用するほどではないが、ITについて相談できる人は必要」という中小企業にとって利用しやすい方法の一つです。
IT業務の属人化を防ぎやすくなる
中小企業でよくある問題が、IT管理の属人化です。
例えば、「パソコンに詳しいAさんしかWi-Fiの設定を知らない」「サーバーのパスワードを社長しか知らない」といった状態です。
普段は問題がなくても、その担当者が休職したり退職したりすると、IT環境を把握している人がいなくなってしまいます。
情シス代行を利用しながら、機器情報、アカウント、ネットワーク構成などを整理しておけば、特定の社員だけに情報が集中するリスクを減らせます。
IT管理を「詳しい人の記憶」に頼るのではなく、会社として管理できる状態にしていくことが重要です。
トラブル対応だけでなく予防にもつながる
ITサポートというと、「パソコンが動かなくなったときに直してもらうサービス」をイメージするかもしれません。
しかし、情シスの重要な役割はトラブル対応だけではありません。
バックアップが正常に取得できているか、古いアカウントが残っていないか、ネットワーク機器が老朽化していないかなど、日常的な管理も重要です。
継続的にIT環境を確認することで、大きな障害やセキュリティトラブルが発生する前に問題を発見できる可能性があります。
「壊れたら直す」だけではなく、「なるべく壊れない環境を作る」ことも情シス代行を利用する目的の一つです。
情シス代行とIT顧問の違い
情シス代行と似たサービスとして「IT顧問」があります。
両者に明確な定義があるわけではありませんが、情シス代行は社内の情報システム担当者が行う実務を外部へ委託する意味で使われることが多く、IT顧問はITに関する相談やアドバイスを受けるサービスとして使われることがあります。
ただし、実際のサービス内容は事業者によって異なります。
IT顧問でもパソコンの設定やネットワーク構築まで対応する場合がありますし、情シス代行でもIT戦略やシステム導入について相談できる場合があります。
名称だけで判断せず、「相談だけなのか」「実際の設定・構築作業まで依頼できるのか」を確認するとよいでしょう。
情シス代行を選ぶときのポイント
情シス代行を選ぶ際には、料金だけでなく対応範囲を確認することが重要です。
パソコンの問い合わせには対応できても、ネットワークやサーバーは対象外というサービスもあります。
また、遠隔サポートだけなのか、必要に応じて訪問対応も可能なのかによって、利用できる場面が変わります。
少なくとも次のような点を確認しておくとよいでしょう。
・どのようなIT業務に対応できるか
・パソコンだけでなくネットワークやサーバーにも対応できるか
・実際の設定変更や構築作業まで依頼できるか
・訪問対応が可能か
・対応時間や連絡方法はどうなっているか
・月額料金に含まれる作業範囲はどこまでか
自社で困っていることを整理したうえで、その業務を任せられるサービスを選ぶことが大切です。
こんな中小企業は情シス代行を検討してみましょう
次のような状況に当てはまる場合は、情シス代行を検討する価値があります。
・専任の情シス担当者や社内SEがいない
・パソコンに詳しい社員がIT担当を兼任している
・ITトラブルのたびに業務が止まってしまう
・社内のパソコンやアカウントを十分に管理できていない
・ネットワークやサーバーの構成が分からない
・IT機器を購入するときに何を選べばよいか分からない
・IT業者からの提案や見積が適切なのか判断できない
特に「ITのことは○○さんしか分からない」という状態になっている場合は、IT管理を見直すタイミングかもしれません。
まとめ
情シス代行とは、社内の情報システム担当者が行うIT業務を外部の専門家へ委託するサービスです。
パソコンやアカウントの管理から、Microsoft 365、ネットワーク、サーバー、バックアップ、セキュリティまで、さまざまなIT業務を相談できます。
専任のIT担当者を採用するほどではないものの、社内のIT管理に不安がある中小企業にとって、情シス代行は有力な選択肢の一つです。
重要なのは、単にトラブル対応を外注するだけではなく、社内のIT環境を継続的に把握し、属人化やトラブルを減らしていくことです。